2015年12月15日火曜日

12月24日は福井地裁へ

12月24日、クリスマス・イヴのその日。
大飯・高浜仮処分の決定が福井地裁で出ることになりました。

最高のクリスマスプレゼントとなる「決定」が出ることを祈っています。

24日は福井地裁へ!
午後1時半にお集まりください!

みなさまの応援を心待ちにしています!

2015年11月23日月曜日

わたしたちの意見陳述


私は、福井県坂井市丸岡町小黒29-1-1に住んでいる、松田正と申します。

4,50年前になりますが、私が子供の頃は、夜になると家族皆が小さな電球1個の部屋に集まり生活していました。父母と兄弟に囲まれ、それは楽しい生活でした。テレビもありませんでしたし、パソコンも、洗濯機もない時代でした。不幸だとか豊かでないとは感じませんでした。

2011年、東北地方を襲った巨大地震で、福島の原発が壊れ、放射能が拡散されたニュースは、私にとっても恐怖でした。福島県南相馬市で、「ガソリンがないので避難できない」という友人の知り合いからメールがあり、軽トラックにガソリンを積んで、南相馬へ持って行きました。私が南相馬についた頃、3月18日には、市民の皆さんはほとんどが避難したあとで、間に合いませんでした。ガソリンは、市の公用車用において帰りました。とても喜ばれたことは今でも忘れません。当時南相馬には市の職員か、警察官か、自衛隊の方しかいない状態でした。一部体に障害のある方は避難できないでいました。

その後、南相馬市の地震被害にあった家の後片付けなどのボランティアに出かけました。そんな中で、赤ちゃんを抱えるお母さんたちが、赤ちゃんのミルクの為の水に困っていることを聞き、水を南相馬や、伊達市、相馬市へ送りました。伊達市霊山町のご家庭に水を届けた時ですが、お母さんが子供を抱え、泣きながら車で出かけて行く場面に出くわしました。私が水を届けることで、近所から「放射能きちがい」と言われ、家族から水を受け取るのをやめるよう言われていたのでした。小さな子どもには少しでも。汚染されていないミルクを飲ませたいという、母親の気持ちも吹っ飛んでしまうような時だったのです。そして、その家族はもうバラバラになり壊れてしまいました。地震災害はあまり被害はなかった地域だったのですが、福島の原発事故で幸せだったと思われる家庭が、壊れていくさまを目の当たりに見て、原発事故の残虐性が改めて恐怖として感じました。本当にあってはならないことです。福島県やその周辺は、チェルノブイリであれば強制避難されているところでも、「たいしたことがない」などと避難どころか、避難解除になっています。これからどのような健康被害が出るか、またその健康被害は証明されないまま、受け入れなければならない状態になってしまいました。

私たちが住んでいる日本列島は、いつ地震が起きるかわからない所です。そんなところに多くの原子力発電所が建設されました。福島の事故が起きる以前は、「原発は絶対壊れない」でした。「もし壊れても、放射能を敷地外に出すことはありません」ということで、嫌だと思っても日本の国策として、日本のエネルギー政策として、推し進められてきました。福井県には狭い県ですが、廃炉が決まった発電所も含め15機もあります。

そして、原子力規制庁からの指示で、周辺は過酷事故の備えをするようになりました。原子力発電所から5km圏内では一時避難所の整備、安定ヨウソ剤の事前配備、30km圏内では、避難計画の策定、それに加え、被ばく医療の充実として病院の整備拡充が行われています。甲状腺がんの手術のできる医師を育てるのだそうです。原発で電気を作るためにです。余りにも馬鹿げています。規制庁は、規制基準に合格した発電所でも過酷事故は完全に排除できないとして、そしてそれ以上の安全に努めなければならないとしていますが、科学の発展や、人びとの生活を豊かにするためという理由はもう破綻しています。原子力<核>は日本では発電などの平和目的以外では利用できません。

発電という目的であれば、原子力発電でなくても発電方法がいっぱいあります。それも電気の安定供給や、電気のコスト、経済の安定発展においても、原子力をあえて利用しなければならない理由はありません。関西電力では原子力発電なしで、会社も黒字経営をしています。ここ2年間は原発の電気は作られていません。何も困ることはありません。

原子力発電は、福島の事故で見られているように、絶対に放射能を敷地外へ出してはならないのです。人々の豊かな生活の引換としては余りにも多くの大きな被害リスクがあるのです。福島は警告しています。「すべての原発を止めてください。」

裁判官に訴えます。私たちの社会は、もう司法にお願いするしかありません。原子力発電がなくても、豊かな幸せな社会が作れることを切に訴えます。冒頭に申し上げましたように、つつましい幸せを望んでいるだけなのです。重ねてお願いいたします。原発を止めてください。

以上

 

 

2015年11月22日日曜日

わたしたちの意見陳述その3


京都府京都市中京区在住の西村敦子と申します。大飯・高浜差止仮処分訴訟に際して、申立人としての想いを申し上げます。

 

福島原発事故から5年経過した今でも事故の収束は見通せず、除染も困難、汚染水の漏えいさえも止められません。原発・除染作業員は被ばくし続け、いまだに10万人以上の福島の人々が避難生活を強いられたままです。高線量に阻まれて原子炉内部の調査が不可能なことから、いまだ事故の原因究明もできていません。安全とは言えないと規制委員会みずからが認めながら、なぜ原発の再稼働を行うのか、まったく理解ができません。稼働40年を超えた原発の再稼働さえも可能だとする国や関西電力の姿勢には恐怖すら感じます。新たな「安全神話」はやめてほしいと心から願っています。

 

当初、電力事業者は電力の安定供給のためには再稼働が不可欠だと強弁していましたが、すべての原発が止まっても安定的に供給できることが明白になると、事業者はついには企業存続のために再稼働が必要だと公言するようになりました。企業利益のために何十万、何百万人の住民が被ばくし、危機にさらされていいのでしょうか。

この間、再生可能エネルギーの増加や省エネルギーの進展には目を見張るものがあり、電力自由化などによって今後ますます供給源は安定、多様化します。そして関西電力は、原発が一基も動いていないにもかかわらず資源価格の下落で大幅な増益になったと報道されています。関電の主張に照らしてみても、もはや再稼働すべき理由はありません。それなのに、膨大な住民の被ばくや避難の可能性を前提にして再稼働を強行しようとするのは犯罪ではないでしょうか。信じられない思いです。

経済活動とは私たちの生活を豊かにするためのものであり、決して生活を破壊するものであってはならないと思います。事業者は、企業倫理に基づき、私たちの生活を破壊する危険性を前提にした、危険な商品・汚い商品の販売をやめるべきです。私たちの生活と健康、命がかかっています。ぜひとも、高浜原発の稼働を差し止めた仮処分決定を維持されるようお願いします。

 

 私は滋賀県大津市で生まれ、大学進学以来30年以上、ずっと京都府京都市に住み続けています。

私の両親をふくめて滋賀県民がその水質を一生懸命守ってきた「近畿の水がめ」であるびわ湖を筆頭に、水源が放射性物質で汚染されれば滋賀県民をはじめ京都、大阪、兵庫など近畿の1400万人以上の健康と生活が脅かされます。重大事故時の飲料水確保は全く見通しが立っていないのです。

私は京都に住んでおりますので、想定される京都の被害について特に申し上げたいと思います。

私の住む京都市中京区は、高浜・大飯両原発からおおよそ60㎞の距離にあります。これは福島第一原発から、強い放射能汚染にさらされた福島市中心部と同じ距離になります。今年の2月に福島県に行く機会があり、福島市にあるJR福島駅構内で、簡易線量計で空間線量を測ったところ、電車からホームに出たところで急激に上がり、待合室では約1μ㏜/h(ちなみに放射線管理区域は0.6μ㏜/h)を記録しました。事故から4年もたった福島市の中心部で、しかもJR構内でこのような線量にものぼる場所があるという事実に、私は大きな衝撃を受けました。

京都市の60㎞圏には、京都府庁・京都市役所や京都大学・京都府立医科大学・日本赤十字病院などの拠点医療機関のほかに、数々の世界遺産が集中しています。京都府等の行政機関が開示した複数の放射能汚染予測によると、高浜や大飯原発で過酷事故が起きれば、風向きによっては、私の家を含むこれらの地域が「屋内退避」となるほどの放射性ヨウ素で汚染されます。そうした事態になれば、世界に誇る文化観光都市・京都は、日々の生活はもとより観光・文化ならびに数多くの本山という信仰の拠り所等の基盤を失って、文字通り壊滅的な打撃を受けます。まさに国富の喪失です。関電という一企業の利益が優先されることなど、絶対にあってはなりません。

また汚染予測図では、北部一帯を高濃度に汚染したプルームは京都市以南の京都府南部にまで到達することが推測されています。高浜・大飯原発が再稼働されて大事故を起こせば、汚染被害は立地である福井県の自治体や原発から30㎞圏にとどまらないのです。京都府の人口約260万人のうち京都市は約145万人。京都市は原発周辺自治体住民の最大の避難受入先になっていますが、京都市民自体が避難しなければならない可能性がきわめて高いのです。しかも高浜34号機はプルサーマル炉であり、通常のウラン燃料の場合よりも健康被害が非常に高くなる恐れがあります。

京都府舞鶴市の一部は5キロ圏に入っており、舞鶴市民9,5千人・宮津市民2万人が全市避難となります。また30キロ圏の避難人口は福井県の2倍を大きく超えています。先述のように京都府庁や京都市役所は両原発からおよそ60kmの近さであるのに対して、福井県庁は70~80㎞です。こうして京都は最大の被害地元であるにもかかわらず、関西電力は京都府とは再稼働の同意権・拒否権をふくむ安全協定を結ぼうとせず、国も府の権限を認めようとしません。

京都府下では、30キロ圏内の安定ヨウ素剤備蓄は基本的に各市町1カ所のみです。事故後に配布をはじめることになっていて、これでは間に合わないという指摘に対して各自治体は口をつぐむばかりです。避難車両やバスの運転手不足も深刻です。自然災害での避難も大変なのに、さらに人災である原発事故で被ばくしながらどうやって逃げられるというのでしょうか。

大津市に住む私の親も介護が必要ですが、30㎞圏外は原発事故の際、屋内退避のみで避難計画は不要とされ、在宅・通所の要援護者が孤立する事実はかえりみられません。また安定ヨウ素剤の備蓄も不要とされています。福島原発事故で避難できずに、あるいは避難したために途上で亡くなっていった要援護者の方々のことを思うと、私の老親も含めて、援護が必要な方々が、避難所までたどりついたとしても体調を崩さずに生きていけるのか、本当に不安です。これほど多くの住民の被ばく・被災を前提とした経済活動=原発再稼働など、断じてあってはならないと考えます。

 

福島県の私の友人・知人は、様々な事情のために、高い線量の汚染に見舞われた福島市や、二本松市、郡山市ほか多くの地域に、放射能を不安に感じながら今も住み続けています。他方、京都には福島からも多くの方が避難してこられています。避難者の方々は、突然、住み慣れた家・地域から遠くへ避難・移住を強いられ、子どもをはじめとした被ばくによる健康被害や、転職、補償の打ち切りなど、生活の不安を日々感じておられます。新築したての住居に住めなくなり、避難先の家賃を支払いながら新築の住居のローンも返済しているという方もおられます。これほどの被害者を生み出しているのに、事故の刑事責任もいまだ問われることなく、被害者への補償・救済も不十分なままで原発再稼働とは、事故でさらに多くの人々が犠牲になっても仕方がないと考えているとしか思えません。

高浜・大飯原発をはじめ、福井にある原発が再稼働されれば、私たち原発近隣住民の命と生活は常に大変な危険にさらされることになります。司法の名誉と責任において、ぜひとも、私たちの命を守る決定をお願いいたします。

                            

2015年11月20日金曜日

わたしたちの意見陳述その2


神戸市垂水区在住の高橋秀典と申します。申立の思いを陳述させていただきます。

私は、20年前の阪神大震災を神戸市職員として経験しました。ぺしゃんこになった住宅から生存者を助けるときも、膨大な被災者の生活再建においても、役所としてできたことは限られています。相互扶助の大切さ、そして何よりも行政の不十分さを住民自治の力で改善していくことの大切さを痛感しました。私の阪神大震災以降の人生は、市民が職員や専門家と連携して行政を改善するために貢献することに捧げています。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故によって、阪神大震災以上の膨大な被災者の方々が苦しんでおられます。とくに阪神大震災の被災者においては、「住み慣れた街にみんなで戻ろう」を合言葉に生活再建をしてきた方が多いのですが、放射能にまみれた原発被災地においては、その合言葉自身が放射能に対する個人個人の考えや家庭の事情の違いを浮き彫りにして、家庭や住民の絆をずたずたにしている現状があります。答えの見えない被災地の状況があるからこそ、一人一人の事情に即した生活再建を行政が支援することを願ってやみません。

そしてさらに行政に求められることは、この被害を招いた原因を明らかにし、施策の改善につなげることであります。いうまでもなく原発事故においては、原子力規制委員会の規制基準が福島事故の教訓を踏まえて改善されたかが重要です。ところが驚いたことに、規制委員会の耐震ルールつくりに関わった藤原広行さんが「基準地震動の具体的な算出ルールは時間切れで作れず、どこまで厳しく規制するかは裁量次第になった」「今の基準地震動の値は一般に平均的な値の1.6倍程度。実際の揺れの89割はそれ以下で収まるが、残りの12割は超えるだろう」と今年57日の毎日新聞で明らかにしました。原決定が平成17年以降10年足らずの間に4つの原発に5回も基準地震動を超える地震が到来している事実を指摘して規制基準を批判したことに対応して、行政の当事者が内部告発したわけです。

「行政は福島のような事故が起きないように事業者を規制してほしい」という国民の期待に、行政は応えていないという事実が明らかになりました。原決定の社会的影響は極めて大きかったと言えます。そして、行政内部の良心的な方が名誉をかけて規制委の実態を明らかにしているからこそ、今回の審理においては、原決定を上回る規範形成が求められていると思います。これは原発をどう見るのかという価値観の問題でなく、未曽有の大災害を受けてこの国が市民の命を守るためにバージョンアップしていくために司法や市民に課せられた責務である、と私は思うからです。

今回の審理で福井地方裁判所は、テーマの専門性に鑑み、裁判所の理解不足を補うために長時間の口頭説明の場を作られました。これはきわめて意義があることだったと思います。なぜなら、先に引用した藤原広行さんは、規制基準については電力会社のコストにも影響するので国民的議論が必要とも述べられています。原発事故が起きてしまったからこそ、規制基準を構成する科学的知見が難解だからとその妥当性の判断を行政にゆだねるのでなく、司法や市民が自ら学習し、判断することが求められているのだと思います。まさに原子力発電所の規制基準問題が、現代科学で言われている「科学によって問うことはできるが、科学によって答えることができない問題群からなる領域」であることを示しています。私も含めて多くの市民も今回の審理内容を学習しました。そういった努力が、規制基準についての国民的議論につながると確信しています。福井地方裁判所が、原決定以上に国民的議論のきっかけになる決定を出していただくよう、切に願います。

以上

 

 

2015年11月19日木曜日

わたしたちの意見陳述書

11月13日に申立人が裁判所に提出しました意見陳述書をアップしました。
ひとり分がけっこう長いので、毎日ひとりずつの掲載となります。

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兵庫県神戸市北区に在住しております。松本なみほです。意見陳述をさせていただきます。

 

このたび私は申立人として名を連ねていますが、真の申立人は子どもたち世代であると考えます。なぜなら、原発事故が起きたときに重大な被害をこうむるのは子どもたちだからです。電力会社から供給されたエネルギーの恩恵を得る期間は短いのに、被曝による健康被害と不安は一生つきまとう。そのうえ、被災者への補償、事故収束にかかわる作業、費用、税金など、あらゆる負の遺産が未来世代にふりかかることになります。

 

兵庫県議会議員、丸尾まき氏が2013年に行った政務調査によると、兵庫県内居住者の子ども8名(内福島県からの避難者3名)の尿に含まれる放射性物質の検査をしたところ、福島からの避難者から、セシウム1370.051Bq/kg、兵庫県内居住者2名から0.047Bq/kg0.044Bq/kgが検出されました。

(http://maruomaki.asablo.jp/blog/2014/06/09/7340610より)兵庫県を出て暮らしたことのない子どもたちの体から、微量であっても放射性物質が検出されていることに衝撃を受けました。

 

福島県の18歳以下の子ども約37万人を対象とした小児甲状腺検査で、小児甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いとされた子供が合計127人発生しています。127人の子どもたちはもちろんのこと、37万人の子どもやその保護者が日々不安を抱え日々を過ごしていることを考えると、いたたまれない気持ちと共に、決して原発事故を繰り返してはいけないと考えます。

 

水俣病をはじめ、公害病や化学物質汚染による健康被害の因果関係の判定には大規模かつ長期間の調査が必要となり、判定が出るころには被害者の健康はすでに損なわれている、という悲劇的な現実があります。こうした原因特定、影響予測が困難な事象に対して、私たち人間は「予防原則」をもって望むべきだと思います。

 

1995年、阪神淡路大震災が起こったとき、私は余震の恐怖に足がすくみ数時間家の中で呆然としていました。巨大地震が起きると、どこで誰がどのような被害を受けているかが分からない。分かったとしても伝える通信手段が機能しない。通信ができても道路や鉄道が寸断され、救助に迎えない。救助者自身が被災している。こうした問題が何重にも重なり、行政は一瞬にして対応能力が限界に達してしまいました。東日本大震災では、巨大な津波が押し寄せ、想像を絶する事態になっていたことと思われます。このような巨大地震を止めることは勿論、予測することさえできないのが私たち人間の能力の状況です。

 

しかし、原発事故を予防するために、原発の再稼働を止めることは可能です。

695日間もの間、原発が一基も動くことなく電気エネルギーは安定供給されました。今年の夏、関西電力は黒字となり、財務状況は原発の再稼働に左右されるのではなく、原油とLNGの輸入価格による影響だということが証明されました。20127月から始まった再生可能エネルギー固定買取価格制度によって、日本における再生可能エネルギーの発電容量は急増し、2014年度の国全体の発電電力量のうち再生可能エネルギーの比率は12.2%になり、石油火力の10.6%を超えています。

 
地震活動期に入った日本において、人びとの健康と命、国土、未来世代の存続を危ぶむ原発事故を予防するための法的判断をしていただきますようよろしくお願いいたします。